介護事業は人(介護職)が人(利用者)に介護サービスを行う対人援助の仕事です。

 介護事業に向いている人とは

介護事業は、主に対人援助の仕事ですので、相手の立場に立った考え方をし、ちょっとした声色、表情、態度等にも変化を感じて対応することが必要です。

利用者の世代は「遠慮」をすることも少なくありません。要望を言わない、笑顔だから、というだけで喜んでくれているというわけではありません。「もっと何かできるのではないか?」「こんな要望があるのではないか?」と常に改善の意識を持つことが大事です。同時に利用者自身だけでなく、利用者家族の介護負担の軽減についても視点を持つことが必要です。

介護事業を始めるのに必要な準備は?

日本は、世界がかつて経験したことのない超高齢社会に突入していることもあって、介護事業はシニアビジネスという視点でも注目されています。多くの業態からの参入は多様なサービスの創出につながり、介護サービスを必要とする利用者の選択肢も増えている傾向にあります。このことは介護業界全体の底上げにもつながっています。

多様化する介護業態の形態に対して、成功事例が多い事業を選択し、参入することも一つの経営戦略ですが、それだけではうまくいかないこともあります。重視すべき点は「地域の土地柄やニーズに即した介護事業かどうか?」を考えることです。

また、介護事業を始めようという場合、利益率や初期投資に着目するだけでは不十分です。介護事業を始めてみようと思う方は、現場の視点を持つために、可能であれば介護職員初任者研修(ヘルパー2級)等の短期で取れる資格取得をおススメします。この資格取得の際に現場研修棟もあるので、自分の目で介護の現場を見ることは大切です。

「儲かるから」だけではだめ。大事な心得とは?

介護事業は単位売り上げを伸ばせばいいというだけではありません。「介護事業はもうかるから行う」「将来性がある」というビジネス上の動機だけではなく、地域貢献と文化の継承という視点も必要です。地域に貢献するということは、地域の抱える介護問題に役に立つような取り組みを行うことです。

例えば、通所介護(デイサービス)を経営していたとします。日中はサービスを行っているので、施設は使用中ですが、サービス終了後に、地域の介護者を抱える家族向けの介護研修や悩みなどを相談できる交流会などを開催するなどでもいいでしょう。

地域のニーズに即したプラスαの取り組みを行うことは時に時間的負担、金銭的負担が生じることもありますが、そうした利益につながらない取り組みも大切です。

また、先の3・11の東日本大震災のような天災時には、自分の家族や友人よりも優先して、利用者の安全を確保し仕事を全うする使命感も重要です。